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リスクアセスメントとは

リスクアセスメントについて、4回シリーズでわかりやすく説明します。

第3回 リスク低減措置について

新人A	だんだんわかってきたぞ!では、次はリスクの低減措置について教えて下さい。先輩B	よし。それでは、さっきの例のほか、いくつかの案件についてリスクの見積もりを行った場合、どれから手をつけて低減措置の検討をしたらいいと思う? 新人A	それは、やっぱり、すぐに改善できるところからに決まってるじゃないですか。
先輩B	実は違うんだな~。  新人A	ええ!どういうことですか。
先輩B	「実行しやすいもの」ではなくて、「リスクレベルの高いもの」から優先順位をつけて検討していくんだよ。  新人A	ああ、そうか。数値化してあるわけだから、リスクレベルの高いものから順番に、つまり「重大な問題がある」と算出されたものから低減措置の検討をしていくんですね。
先輩B	そう、そのとおり。だけど、その中でも1番に優先されるのは、「法令に定められている事項」なんだ。これは確実に措置を講じなければならないんだよ。  新人A	なるほど、「法令遵守が最初」と。その次は、どんな順番で検討していったらいいんですか。  先輩B	次のような順番だよ。
○法令に定められている事項
  ↓
①危険な作業の廃止・変更、より危険性・有害性の低い材料への代替等
  ↓
②工学的対策(安全装置のついた機械を設置等)
  ↓
③管理的対策(マニュアルの整備、立入禁止措置、ばく露管理等)
  ↓
④個人用保護具の使用  新人A	①の危険性・有害性の低い材料へ代えたり、②の新たに機械を設置する、ということから検討するんですね。③のマニュアル作りや④の保護具の使用の検討は優先順位としては低いのか...。
先輩B	そう。まずは①と②を重視して③④はそれを補うべきものとされているんだ。  新人A	へぇ~。①②を考えずに、③④だけを実施するわけにはいかないんですね。
先輩B	そういうこと。それから、当然だけど「リスクの低減措置」について検討するわけだから、考えられた措置によって本当にリスクが低減するのか、「措置実施後のリスクの見積り」もしっかり行って、有効な措置かどうかを確認するんだよ。  新人A	よし、「工場勤務の労働者の手が届くところに高温の物体があり、カバーもされずにむき出しになっている」という例のリスク低減措置を考えてみるぞ。  えっと、「高温にならずにその作業ができるか」をまず検討して(①の検討)、それが難しい場合は「カバーの付いた機械の設置」を検討(②の検討)、次に、「これを扱うときにどういうルールにしたらいいか」を検討(③の検討)して、最後に「もし触ってしまってもケガがないように手袋をする」(④の検討)というような感じかな。
先輩B	おお、いいぞ!いいぞ!  新人A	じゃあ、どうしてもその作業が必要で、また高温になることがやむを得ないから、「カバーの付いた機械を設置する」と想定した場合、次のようになると思います。
①重篤度の配点例
重篤度	点数	内容
致命的	10	死亡災害や身体の一部に永久的損傷を伴うもの
重大	6	1か月以上の休業災害や一度に多数の被災者を伴うもの
中程度	3	1か月未満の休業災害や一度に複数の被災者を伴うもの
軽度	1	不休災害やすり傷程度のもの
⇒1 
カバーのおかげで、高温の物体がむき出しになっていないので軽度  ②危険状態が発生する頻度の配点例
頻度	点数	内容
頻繁	4	1日に1回程度
時々	2	週に1回程度
滅多にない	1
半年に1回程度
⇒1 
新たにルールも作るし、仮に触っても大丈夫なように手袋をしているから滅多にないだろう  ③危険状態が発生した時に災害に至る可能性の配点例
可能性	点数	内容
確実である	6	安全対策がなされていない。表示や標識はあっても不備が多い状態。
可能性が高い	4	防護柵や防護カバー、その他安全措置がない。たとえあったとしても相当不備がある。
可能性がある	2	防護柵や防護カバー、その他安全措置は設置しているが、柵が低いなど不備がある。
ほとんどない	1	防護柵や防護カバー、その他安全措置は設置され、危険領域への立ち入りが困難な状態。
⇒1 
災害になる可能性はほとんどない  先輩B	ということは、「リスクポイント」はいくつになるかな。
新人A	「リスクポイント」はそれぞれを加算するわけだから、1+1+1=3なので、④リスクレベルと対応措置の表に当てはめると、「Ⅰほとんど問題がない」ということになるんだ!
④リスクレベルと対応措置
リスクレベル	リスクポイント	リスク低減措置
Ⅳ重大な問題がある	12~20	リスク低減措置を直ちに行う。措置を講じるまで、作業を中止する。十分な経営資源を投入する。
Ⅲ問題がある	8~11	リスク低減措置を速やかに行う。措置を講じるまで、作業しないことが望ましい。
Ⅱ多少の問題がある	5~7	リスク低減措置を計画的に行う。措置を講じるまで、作業を適切に管理する。
Ⅰほとんど問題がない	3~4	費用対効果を考慮して、リスク低減措置を行う。  先輩B	素晴らしい!
新人A	こうやってリスク低減措置を考えていくんですね、よくわかりました。 

【第3回 リスク低減措置について】はいかがでしたか?

続き 【第4回 安全衛生教育で仲間を守ろう】も見てくださいね!

 

(第3回)