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リスクアセスメントとは

リスクアセスメントについて、4回シリーズでわかりやすく説明します。

第2回 リスクの見積もりとは

 新人A	危険性または有害性のある作業を特定したあと、「リスクの見積もり」について教えて下さい。
先輩B	リスクの見積もりというのは「災害によるケガや病気の重さ(重篤度)」と「災害が起こる可能性の度合(危険状態が発生する頻度)」の2つの要素を組み合わせて、その大きさを計算することなんだ。この2つの要素に予め基準を定めて数値化することで、誰でも同じ尺度で見積もることができるようになるのさ。  新人A	あぁ、確かに。リスクを見積もる人によって、同じ災害なのに「軽傷のケガで済む」とか「命の危険がある」とか、ばらばらの意見では対策できませんからね。
先輩B	そういうこと!個人差が大きくならないように基準にそって計算することは重要なんだよ。それから、初めのうちはその差が大きいかもしれないけど、繰り返し行うことで、だんだんとばらつきがなくなるよ。 新人A	では、早速そのやり方を教えて下さい。
先輩B	よし、では、「工場勤務の労働者の手が届くところに高温の物体があり、カバーもされずにむき出しになっている」という例で説明しよう。 重篤度の配点例
重篤度	点数	内容
致命的	10	死亡災害や身体の一部に永久的損傷を伴うもの
重大	6	1か月以上の休業災害や一度に多数の被災者を伴うもの
中程度	3	1か月未満の休業災害や一度に複数の被災者を伴うもの
軽度	1	不休災害やすり傷程度のもの
⇒3 
やけどの可能性があるから中程度 危険状態が発生する頻度の配点例
頻度		点数	内容
頻繁		4	1日に1回程度
時々		2	週に1回程度
滅多にない	1	半年に1回程度
⇒4 
手の届くところにあるわけだから頻繁に起こるだろう 危険状態が発生した時に災害に至る可能性の配点例
可能性		点数	内容
確実である	6	安全対策がなされていない。
			表示や標識はあっても不備が多い状態。
可能性が高い	4	防護柵や防護カバー、その他安全措置がない。
			たとえあったとしても相当不備がある。
可能性がある	2	防護柵や防護カバー、その他安全措置は設置して
			いるが、柵が低いなど不備がある。
ほとんどない	1	防護柵や防護カバー、その他安全措置は設置され、
			危険領域への立ち入りが困難な状態。
⇒4 
災害になる可能性は高い 一般的なやり方は、①と②と③の点数を加算して、「リスクポイント」を求めるんだ。今回は、3+4+4=11なので、④リスクレベルと対応措置の表に当てはめると、「Ⅱ問題がある」ということになるね。
リスクレベル		リスクポイント	リスク低減措置
Ⅳ重大な問題がある	12~20	リスク低減措置を直ちに行う。
					措置を講じるまで、作業を中止する。
					十分な経営資源を投入する。
Ⅲ問題がある		8~11	リスク低減措置を速やかに行う。
					措置を講じるまで、作業しないことが
					望ましい。
Ⅱ多少の問題がある	5~7		リスク低減措置を計画的に行う。
					措置を講じるまで、作業を適切に管理する。
Ⅰほとんど問題がない	3~4		費用対効果を考慮して、リスク低減措置を行う。 新人A	「問題ある」、ということは「リスク低減措置を速やかに行う。措置を講ずるまで作業をしないことが望ましい。」だって! うわ、これはすぐに対応しなくちゃ。どうやってリスク低減措置をとるのか、教えて下さい。
先輩B	おおっと慌てないでその前に。リスクを見積もるうえで重要なことを伝えておくね。 新人A	はい、なんでしょうか。
先輩B	さっきは例で簡単に示したけど、実際にリスクの見積もりを行うときは「ケガをする」ではなく、その部位、ケガの内容・程度を具体的に予測することが重要なんだ。それからケガや病気の程度も「これが原因で死亡するかもしれない!」と全部を死亡災害としては見積もりの意味がないので、常識的な範囲でおこなうこと。そして、「重篤度」については「そのケガによってどの程度休業する必要があるか」を共通尺度とすることがいいだろうね。 新人A	絆創膏を貼る程度のケガだから休む必要はないから、「重篤度は軽度の1」というイメージですか
先輩B	そのとおり。 新人A	だんだんわかってきたぞ!では、次はリスクの低減措置について教えて下さい。

【第2回 リスクの見積もりとは】はいかがでしたか?

続き 【第3回 リスク低減措置について】も見てくださいね!

 

(第2回)